第2章 イチゴミルク
俺は、風間をおぶって保健室へ急ぐ。
朝早いためか、誰ともすれ違わなかった。
保健室も早いといつも開いていない…が、
(…開いてる)
なんて幸運なのだろう。俺は、静かに風間をベッドへ寝かせて、ケータイを取りだし菅原にメールする。
『今日、朝練休むわ。』
"ピロロン♪"
おそらく、田中達が早朝練の片付けをしている頃だろう。返信は早かった。
『なんかあった?』
菅原にはちゃんと話しとこうと、簡単な説明をメールで送る。
『了解』
話を突っ込んで聞こうとせず、すぐ理解してくれる菅原。本当に、良い奴だと思う。
風間は、倒れた時より顔色は良くなったが、まだまだ目を覚ましそうにない。
澤「はぁ。なにやってんだ、俺は。」
なんであの時、彼女を一人にした?
あんなに顔色悪かったじゃないか。
何時もなら、あんな慌てずに冷静に一声掛けてから離れるだろう。
(そうか。俺は……きっと……風間の事が…)
最近、俺は風間に出会って浮かれていた。
それは春という時期のせいだと思い込んでいた。
いや、思い込ませようとした。
(こんな短期間に、こんな感情が生まれるなんてな。)
でも俺は、部長として烏野をオレンジコートに連れていかなきゃならない。そして恐らく今年はチャンスだ。
澤「…しっかりしないとな。」
自分の心に
嘘と言う
魔法をかけても
俺は、
部長だ。