第2章 イチゴミルク
貴「はあ…はあ…ぜぇ…ぜぇ…」
澤「だ、大丈夫か?」
結論から言おう。
勿論、私が負けました。
スタート時のハンデは、私にかなり有利な約50メートル。
学校までは残り、250メートル位の登り坂。
全力疾走したのに、先に着いたのは澤村先輩だった。
先輩との差は20メートル。
ちょっと悔しい。
運動不足のせいか、久しぶりの全力疾走のせいか、なかなか息が整わない。
(ちょっと。苦しい…)
少しだけ顔を挙げると、先輩の姿がない。
(さっきまで、居てくれたのに……)
きっと、私の無茶な勝負に付き合わされた挙げ句、なかなか顔を挙げない私に愛想をつかして、先に部室へ行ってしまったのだ。
貴「……せ、んぱ…い。」
(苦しいよ。先輩……父さん……)
『おい!!黎!!!!』
澤村先輩………