第3章 獄寺 隼人(リボーン)
可愛いヤツだな…本当に。
そんな事を思いながらも口には出さず、嬉しさを表現するかの様に頭を撫でる手を止めなかった。
「わぁ~!」
「人が沢山居るね~!」
小走りに人混みへと向かう萌の手を掴み、迷子に成らない様に屋台を廻って行く。
「金魚すくい…、金魚スクイ…、金魚救い?」
おいおい…、何か最後が変な屋台名に成ってたぞ…
「金魚を救う屋台……?」
変な事を言い出しやがった…
大丈夫なのかコイツの頭。
いや、元々が大丈夫じゃ無かった。
「金魚救い殺りたい!」
「殺ったら駄目だろ、助けろよ」
苦笑しながら屋台のオッサンに金を渡して金魚を救い始める。
「…甘やかすのは良くないんだけどな……」
何度目かの溜め息を吐きながら、萌の様子を見てみる。
「う~…、逃げないで~…」
浴衣の袖を持ちながら器用に金魚を救い上げる萌。
餓鬼っぽい無邪気な笑顔を浮かべる萌が無性に愛しく感じられる。
あ~…、何でこんなヤツに惚れたんだろ。
俺も馬鹿だな。
「や、破れちゃった…」
「隼人は破れた?」
「破れたとか聞き方悪いな、おい」
もうそろそろ俺も終わるか。