第8章 8
まさかリヴァイからそれについて聞かれるとは思っていなかった
噂とかは気にしなさそうだから
「結婚はしないよ」
今日何度目かわからない返答
実はここ屋上に来る前に何人もの部下に同じことを聞かれていた
「そうか」
そう一言返し、空を見上げるリヴァイは何を考えているのだろうか
何か思うことはあるのだろうか
「…リヴァイ、キミはイザベルとファーランのことは忘れられたのか?」
リヴァイはゆっくりとノアに焦点を合わせた
ノアの青みがかった灰色の瞳は真っ直ぐとリヴァイを見つめる
心臓が少しドキリとしたのは気のせいだろう
「…忘れるわけねぇだろ」
そう言ったリヴァイの瞳は少し寂しさを帯びていて
イザベルやファーランと出会ったときのことを思い出しているのだろうか
「エルヴィンの言っていた
後悔するな、ってやつか?」
「……あぁ」
「…俺も難しいとは思うが、後悔しないために忘れるというのは違うと思っている」
「………」
ノアはリヴァイから目を離す