第7章 7
太陽が沈み、街は街灯に照らされ始めた
お茶を飲んだ後、雑貨など様々なお店を見て歩いたノアはそろそろ帰ろうかと馬車を探し歩いていた
いつも兵舎から見える景色とは全く違う明るさに少し心が躍るような気がする
両手に荷物を持ち、疲れを見せない軽い足取りで歩き回った
「…おい」
突然声をかけかけられ、後ろを振り返る
だがそこには誰もいない
え?そう思いながら少し目線を下げると
「お前、どこから来たんだ?」
小さな少年がいた
そう言えば声も幼い感じで可愛らしいなと今さらながら思う
しゃがみこみ、少年と目線の高さを合わせる
「…これ、くれよ」
そういって少年が指差す先にはチェーンに通した指輪のネックレス
キラキラと輝く瞳は少し眩しい
「これは大切なものなんだ」
ごめんよ、少年の頭を撫で優しげに笑う
少しがっかりしたような少年にノアは先ほど買った袋の中をガサガサと探し
「代わりにこれで許してほしい」
差し出したのはカフェで購入したラスク
それを見た少年は嬉しそうな表情に戻り、ありがとう!
背を向け、暗い路地へと走っていった