第7章 7
リヴァイが部屋から出て行ってすぐのこと
ノアは椅子から腰を上げ、仕事で使っている机の前に移動した
一人になったからか、足音など少しの音が妙に響く
薄暗い部屋の中ジッと見つめるのは様々な書類が積まれているその一番上の引き出し
あまり開けることのないそこにいつもポケットに入れて持ち歩いている鍵を差し込む
カチャリと回った音がし、簡単に開くそこにはまた書類
ここにはエルヴィンから奪いとったような書類ではなく、それよりも重要な書類が数枚入っている
その奥に手を伸ばしコツンと指先に当たったなにか
それは何年も机の奥に眠らせていた銀の指輪
久しぶりに見たそれはとても懐かしくて
存在を確認するかのように指輪を握りしめる
ふうと目を瞑り深く深呼吸をしたノアは先ほどまでリヴァイが座っていたソファへとゆったりとした足取りで進む
テーブルの上にはリヴァイが少し残した紅茶が置いてあって
それを手にすると一気に喉に流し込む
「……ぬるいな」
窓から見える空には欠けて小さくなった月が弱々しく光を注いでいた