第6章 6
少し気分転換になればと外に出ることにした
調査兵団に入って一度も行ったことのない屋上
なんとなく、空に近い場所に行きたかった
眠っている人もいるだろうと、廊下や階段をそろそろと歩くのは少し悪いことをしているような気持ちにさせた
階段を登り切って扉に手を伸ばす
「また、やっちゃった」
突然聞こえた声にどきりとし、手を引っ込めるアンナ
声は扉の向こうから聞こえている
「同じことの繰り返しだ」
この声は…ノア副分隊長だ
アンナは静かに扉を開け、外を覗く
「また、助けられなかった」
屋上の淵に片足を立てて座り、大きな満月を見上げているノア
近くには誰もいない
「私が殺した」
辛そうな、悲しそうな横顔
ノア副分隊長のせいじゃない、私が未熟だったから