第6章 6
「…ふぇ、やっと終わった」
壁外調査から帰ってきた調査兵団は馬の世話、物品の整備、死亡者の割り出しなど多くの業務に追われていた
木でできた兵舎をギシギシと鳴らしながら重い体を進める
今回の壁外調査で、アンナの同期は約半分が帰らぬ人となった
それでも、悲しむ暇も与えられないまま、仕事に追われ、時間は過ぎていく
気がつけば外は真っ暗で
未だに夕飯を食べてないことすら忘れていた
「なあ、アンナ」
「…リアム、なにか用?」
食堂へと向かうアンナを呼び止めたのは、同期で同じ隊だったリアム
彼もアンナと同じく、今回の壁外調査でノアに助けてもらった身だ
「ノア副分隊長見なかったか?」
「見てないけど」
「そっか、ならいいや」
そう言って小走りで遠ざかっていく
なんだったんだ?
アンナには疑問が残るだけだった
食堂につくと、料理人さんがいて「お疲れさん」そう言ってスープとパンを出してくれる
ありがとうございます
アンナはそれらを受け取ると近くの椅子に座り、食べ始める
「幹部さんたちはまだ忙しいのかい?」
「…きてないんですか?」
チラッと料理人さんのほうをみると少し困ったような表情をしていた