第6章 6
野営地についたアンナたちの隊は約三分の一の兵士を失った
夕焼けを背中に、嬉々として人間を食べる巨人に恐怖しか湧いてこない
ミシミシと握り締める音
断末魔の叫び
空に飛び散る紅い血痕
全てが頭にこびりつく
あんな景色を見たあとに食事などできるはずもなく、早々に就寝しようとした
「…アンナ」
目をつむり、眠れるはずもない夜を覚悟した時、凛とした落ち着いた声に呼び起こされる
「……ノア副分隊長」
「食欲が出ないのはわかるが、少しでも食べないと明日に響く」
そう言って差し出したのは、食べやすいスープだった
冷める前に飲めよ
そう一言放ち、頭を撫でたノアはすぐさま踵を返し忙しそうに仕事に戻った