第5章 5
後悔は決断を鈍らす
イザベルやファーランを亡くした時にエルヴィンに言われた言葉だ
あれ以来、同じ班のやつが死のうが、作戦が失敗しようが後悔はしなかった
ただ、前に進むための一歩だと思い続けている
パシュ、パシュ
アンカーが射出され生い茂った木々の一本に突き刺さる
昔の人もよくこんなものを作ったなと思う
これ一つを作るために何人もの人が犠牲になっただろうか
だがこの立体機動装置を作ったことに後悔をしている人はいないだろう
人類の反撃の糧となるのだから
ガシャ、ガシャン
立体機動で空を舞っていたリヴァイの前に突然現れた巨人の模型人形
それに気づいたリヴァイは一瞬で方向転換し、空高く上昇した
ブレードを逆手に持ち替え一気に加速
ザクッ
模型のうなじを深く削り取る
地下から上がってきてもうすぐ一年
未だ嫌悪する者はいるものの、ほとんどの兵士がリヴァイを憧憬の眼差しで見ていた
ノア、あいつと出会って一年経つ
それなのにあいつの考えることはよくわからない、エルヴィンほどではないが
ただひとつ言えるのは、あいつの俺を見る目にはうっすらと後悔が浮かぶということ
何に対してかはわからない、俺自身かもしれないし、俺に誰かを重ねているのかもしれない
だが、俺が近くにいたら決断を鈍らせることは間違いないだろう
それなら離れていたほうがいい
そう考えてるリヴァイだった