第3章 3
空を見上げるとまん丸でオレンジ色に輝く大きな月が見えた
地上の人間からしたら月があるのは当たり前で、毎日どんな形かどんな色かなんて気にすることはなかった
「地下にいた時は昼も夜も暗いからな」
「……そうか」
ノアたち調査兵団はいつ死ぬかわからない、毎回の壁外調査が死と隣り合わせだ
もしかしたら、明日はもういないかもしれない
こうして月を見られるのも最後かもしれない
そう思うと、こういう景色を目に焼き付けておこう、見れるうちにしっかり見ておこう、そういう気持ちになった
「……なぁ」
「なんだい?」
「この前俺になんて言おうとしたんだ?」
ノアは月から目を離さず、リヴァイの言うこの前を思い出そうとしていた
あぁ、リアムが途中で来た時か
すぐに思い出すことが出来たが、なんとなくこんなことを言わなくても大丈夫な気がした
「なんだったか、思い出せないな」
「……そうか」
リヴァイ、キミは本当にエルヴィンを殺そうと思うのか
いや、キミはエルヴィンを殺すことはできないだろう
理由?そんなものないさ
長年エルヴィンの近くにいた人間のただの勘だよ