第12章 12
路地裏で男の集団につかまって、逃げれず諦めかけたとき一人の女性が無言で路地裏に入ってきたんです
私からは何も見えなかったけど、東洋人だ、調査兵だという声だけが聞こえました
興味は完全に私からその東洋人の調査兵の人に移り変わっていて
逃げるなら今しかないと思い
とにかく無我夢中で走りました
本当にすみません、助けてください
最後の助けてくださいという言葉は私を助けてという意味ではなく、身代わりにしてしまったあの人を助けてと言っているようで
すぐさま大まかな場所を聞き、全力で走った
この辺りは景観が似通っていて、特に目印になるようなものもなく、路地裏がたくさんあった
「っ、ミケ!」
「あぁ!さっきよりも濃くなってる、近いぞ!」
そうミケが答えた瞬間、一帯から周りとは明らかに違う異様な雰囲気を感じた
それを助長するかのように、ゴッ、ガツッという音が聞こえる
「っ、ここだ!」
辺りを警戒する暇もなく無我夢中で路地裏に駆け込んだ