第12章 12
「ノア!っつ」
薄暗い路地裏
表とは全くの反対
光が当たることもない
「ノア…?」
そのあとはあまり覚えていない
気づけばゴトゴトと揺れる箱に乗り
殴られてボロボロになったノアが私の膝の上で眠っていた
服もビリビリに破かれていてなにを目的にそうなったかは一目瞭然だった
「……ミケ?」
「………やっと戻ったか」
何が?
そんなこと聞かなくたってわかってる
「っ、ごめん、何も覚えてない」
「あぁ、思い出させる気はない」
ミケの優しさ
自分の無力さ
ノアを救えなかった悔しさ
「……っ」
私に泣く資格などない
わかってる
それでも、溢れ出る涙を止める術がわからない
「……もう、二度と」
こんなことが起こらないように
「…っ、強く、なる」
全てを抑え込むことのできる力を
「……あぁ」