第12章 12
「今日!我々はまた一歩前進する!」
何度か経験したこの光景も慣れる気がしない
独特な空気が流れるこの瞬間
様々な恐怖に飲み込まれそうだ
「開門!」
重たい門が地ひびきをたてながら徐々に開いていく
「前進せよ!」
とても綺麗な空だった
雲ひとつない
嫌なくらい澄んだ空
ノアとカイルは違う班で
一日目はカイルの班の犠牲が少し多かったがそれ以外は無事に宿についた
宿と言ってもそんな立派じゃない
一晩過ごすための建物だ
「カイル!無事?」
班が違うノアは犠牲が多かったとしか聞かされていなかったのだろう
真っ青だった顔は安堵に変わり今にも泣き出しそう
「あぁ、心配かけたな…」
苦しそうに笑うカイルはノアの頭を撫で、すぐに抱きしめた
神様なんて信じないけど
どうか、
この二人が苦しむような
二人を引き裂くような
そんなことはしないでほしい
ただただ願った