第11章 11
「……なぁ」
「なぜ嘘をついたのかって?」
「っ、…あぁ」
こちらを少しも見ずに紅茶を口に運ぶノア
なぜ言いたいことがわかったのか
なんだか心の中を見られている気がした
「……忘れられない記憶、かな」
「……」
チラリともこちらを向かないおかげで全く見てとれない表情
それでも、憂いの雰囲気が漂うのはわかる
「…それが、お前の後悔か?」
今までに何度も見た
後悔した日を思い出す姿を
「…さあな」
素っ気なく答えるその声も
少しだけ震えている
どれだけ大切にしていたものか
安易に予想がつく
俺には言えないことか?
そう聞こうと思った