第11章 11
あれから長らく沈黙が続いている
互いにお喋りな性格ではないゆえ
こうした沈黙が多い
だが、それは気を使う必要があるものではなく
ただただ心地の良い空間
さきほどまで、暗く重かった気持ちも
少し軽くなった気がする
「…これリヴァイが淹れたのか?」
「あぁ、そうだが」
「……」
「…言いたいことはわかる」
「ふっ、まあ誰でも苦手なことはひとつやふたつはあるからな」
そう言いながらも紅茶を口に運ぶノア
椅子にもたれ、景色を眺めながら紅茶を啜る姿はひとつの絵画のよう
自分でもまずいと思うこの紅茶をなんともないように飲むノアは本当に心優しいのだと思う
だがそれと同時に、なぜ飲めないなどと嘘をついたのかどうしようもなく気になった