第11章 11
それから少し経つと、ふと香りが漂った
なにが起きたのかとテーブルのある方を窺うと
カチャカチャとリヴァイが紅茶の入ったカップを持ってきたところだった
「……なにをしているんだ」
「紅茶を淹れてやったんだろ」
「……」
「紅茶好きらしいな、ミケから聞いた」
「あぁ」
「俺は飲めないと聞いていた」
「……そうだったな」
確かに飲めないと言った覚えがある
リヴァイたちが調査兵団に入って間もないころだったかな
あの時は確かイザベルもファーランも生きていた
カップを持って近づくリヴァイ
寄るたびに紅茶の香りが増し
ほら、と目の前に差し出されるカップを受け取る
少し赤みがかった紅茶に映る自分の顔はゆらゆらと今の心の内を表しているよう
もう明日までの時間はあまりないというのに気持ちの切り替えは全くできなくて
うじうじとしている自分に腹がたつ
それでも、頭をよぎるのは仲間が巨人に食われていく景色
もう、限界だった