第11章 11
コンコンというノック
どうぞともなにも言わないまま窓の外を見る
普段なら返事がなければ入ってこないはずだが、今は扉の開く音がした
コツコツと近づく靴音にエルヴィンかハンジでも帰ってきたのかと思い
ちらっと横目で見ると不機嫌そうな三白眼と目があった
「……リヴァイか」
そう言ったきり顔を反らすノアにリヴァイは盛大な舌打ちをする
「てめぇ、なんつーツラしてんだよ」
突然押しかけてきて顔が悪いなんて失礼だな
普段ならそう返すだろう
「…あぁ」
たったその一言を絞り出すだけで精一杯だった
涙が溢れてしまいそうだから
人の温もりが欲しかった
でも、今は誰にも会いたくなかった
この矛盾した不安定な心のままで誰かに会うと壊れてしまいそうだった
気がつけば近くにはリヴァイはいなくて
ぼーっとした頭で、部屋に戻ったのかなどと考えた
突然現れて突然いなくなるリヴァイは何をしたかったのか
おかしくなると思っていた心は何故か少し落ち着いて
あぁ、やっぱり寂しかったんだろうな
なんて他人事のように思った