第11章 11
いつものように月が落ち、気づいたときには太陽が昇っていた
ついさっき誰かが食事を置きにきた気がする
テーブルの上にパンと湯気のたつスープが置いてある
だが今は何も食べる気にはならない
視線を外に戻すが、ノアの瞳には何も映っていない
休めるのはせめてあと1日
それまでには切り替えるから
また、いつものように戻るから
だから、今は何もしたくない
ノアの胸元でチェーンに繋がれた指輪が鈍く光っていた
あれからどのくらい時間が経ったのだろうか
太陽がほぼ真上にまで昇っている
壁外調査の翌日だからか、訓練している兵士はほとんどいない敷地はだだっ広く感じる
「………」
いつもなら聞こえる外からの声も今日はなく、部屋の中がシンとする
息をする音、心臓が動く音
体中から生きている音が聞こえて嫌になる
今までに何人もの兵士が亡くなった
助けられなかった
私のせいでいなくなった
どうしようもなく自己嫌悪に陥る
あのときああすれば、こうすれば…
今更になって後悔ばかり
亡くなった人は後悔すらできないというのに