第10章 10
あれから数日が経ち、もう少しで壁外遠征が実施されるというころ
「ノア、何かあったのか?」
いつものように書類に追われるエルヴィンがノアの前で優雅に紅茶を嗜んでる
新しく買った珍しい茶葉で淹れたというのに特にリアクションをしないエルヴィンは相変わらずだ
「…なぜそう思う」
ちらりとエルヴィンの顔を見るが仮面の下の顔は見えない
なんとも思わないまま書類に目を戻した
「…作成された書類がいつもよりツメが甘い」
これでも十分ではあるが、普段が優秀すぎたからな
少しの変化にも気付くエルヴィンはさすがというか
上に立つ者として相応しいのだろう
エルヴィンに隠し事はできない
「そうか、…まあ、“何か”はあったな」
つい数日前のことを思い出す
ミケに告白されたかと思えば、リヴァイからも告白紛いなことをされた
とても濃い1日だった