第10章 10
「それよりも、今回の遠征では巨人の捕獲をするんだな」
朝までハンジの巨人話に付き合ったとき
巨人から逃げているだけではそのうち壁が壊された時に何も対処ができない
少しでも巨人の弱みを握るのが私たちの使命だろう
それなのに、エルヴィンの分からず屋が
ハンジがずっと言っていたことだった
今までは頑なに許可を出さなかったエルヴィンがどういう心情の変化だろうか
「ハンジに熱弁されたよ」
巨人の体重が知りたい、頸以外にどこが弱いのか、全てを知るために早くから動くことに損はない
誰だって最初は危険を冒すものだ
何度もの失敗を経て永遠の成功を手に入れるんだ
もし、今日巨人が壁の中に入ってきたら…?
弱点や対処法は早めに掴んでおいたほうがいいだろ
「今壁外での急務は特にない、解決してないことはあるがな
だから一度試すことも必要だと思い、今回は許可を出した」
少し遠い目をするエルヴィン
ハンジは許可を貰うために何時間もエルヴィンに語り、説得したのだろう
容易に想像ができ、思わず苦笑いが出る
「そこでだが、ノア、ハンジからのご指名だ」
「誰か優秀なやつを貸して欲しいと?」
「それもあるが、お前には巨人を捕まえるところに一緒にいて欲しいとハンジが言っていた」
「……この間一緒に捕まえようと言われたな」
ノアは朝までハンジに付き合った日のことを思い出していた
あまり記憶にないが、承諾の返事をしたような気がする
まさか、現実になるとは
「そういうことだ」
「あぁ、了解した」