第9章 9
だが、人の話を聞くばかりでノアは自分の話を全くしない
悩みなどないというかのように装う
俺もハンジも何度か吐き出させようとしたが上手くいかず
そろそろ限界が近いように思える
「ノア、…俺も本当のことを言おう」
最近は、やっと弱さを見せるようになってきているが
まだ、多くのことを1人で抱え込んでいるのだろう
「俺もあの時、お前に後悔していることはないかと問われた」
今から言おうとしていることは、ノアの悩みを増やすことになってしまうかもしれない
だが、俺も限界だ
ずっとノアを見てきた
その小さな背中にのしかかるものも
それを1人で乗り越えようとしていることも
泣きそうになりながらも人の前では涙を流さなかったことも
ずっと、近くで見てきた
「あの時の言葉は冗談なんかではない」
「………え?」
これからは、見ているだけでなく
「俺は出会ったときから、お前が好きだ」
隣で、支えたい