第9章 9
「…お前は、ここに必要な存在だ」
ゆっくりと少し潤んだ瞳を向けるノア
ミケは優しく笑い
「昔は調査兵として、なんて気持ちはなかったのかもしれないが、今はあるだろう」
シンと静かな空間に外のガヤガヤとした音が聞こえる
「お前は誰よりも人の死を嫌がる
誰よりも人の命を大切にする」
「……」
「もちろん、切り離すことをしなければならない時はあるが、それ以外は無駄な死体が出ないよう工夫しているだろ」
希望を絶やさないように、大勢の命を救っている
そこが、お前の良いところなんじゃないか
そう言ってくれるミケ
思わず涙が溢れそうになった