第9章 9
ハンジといいミケといい
本当に自分は仲間に恵まれている
「ミケ」
「…なんだ」
「キミは前に何故調査兵団に入ったのか、と聞いたね」
それは、エルヴィンが団長になったばかりのころ
ハンジとミケと飲みに行ったあと談話室で飲み直した時だ
あの時は、劇的な死を遂げるためだと言った
ミケに冗談が下手だと言われたな
「……本当のことを言おう」
「……」
少し目を見開くミケを見てふわりと笑ったノア
「そうだな、一言で言えばただの追っかけだ」
最初は、人類のためだの希望を繋げるだの
そんなことを思ったことはない
私は調査兵としての志を持って入団したわけではなかった
「少しでも近くにいたい、ただそれだけだった」
抽象的な話でも、ノアを昔から見ているミケは言っていることがわかるようだ
「できる限り隣に、最期は一緒に」
ずっとそう考えていた
それが、若かったと
幼稚だったと、思う