第9章 9
わいわいと窓の外からは賑やかな声が響き渡る
兵士たちが訓練を始めたのだろう
ソファに座り向かい合うノアとミケは一言も言葉を交わさない
突然のようにここへ来てしまったが、ミケは今日何も用事はないのだろうか
何も言わないだけで、早くいなくなれと思ってはいないだろうか
いや、ミケは今までそんなことを言ったこともないし、むしろ気がすむまでとことん付き合ってくれる
でも、実は迷惑だったり…
そんな自問自答がノアの頭の中では悶々と繰りかえされている
はぁ、と無意識に深くため息をついていた
「…迷惑とは思わない、気がすむまでここにいればいい」
珍しく口を開いたミケに驚くノア
さらに、自分の心の中まで読まれたような気がした
「…ありがとう」
「……あぁ」
目の前にあるコーヒーカップに目を移す