第9章 9
兵舎内へと戻ったノア
ハンジが巨人について夜通し語っていたせいで眠れていない体を動かす
仮眠を取るべきだとは思うが、他の兵士たちが訓練や仕事をしているというのに、眠るなど悪い気がした
だが、自分の部屋で書類をまとめていると、それこそ睡魔に勝てないだろう
そう思ったノアは
コンコン
「……どうぞ」
「失礼する」
「…は、ノアか珍しいな」
「あぁ、ここに来るのは久しぶりだな、ミケ」
昔からの友人の部屋を訪れた
「何かあったのか?」
ミケの部屋にノアが来るのが珍しすぎて
ただ来てみたという理由は認識されないようだ
「…なにもないが」
「…そうか
茶を淹れよう、何がいい」
カチャカチャとカップを用意するミケ
その手元を見ると、欠けたカップや茶色くなっているカップがないことに安堵を覚え
ほっと小さく息をはいた
「…コーヒー」
……そうか、そう一言返すミケ
「…最近は飲んでいる、大丈夫だ」
ソファに座り、視線を窓の外に移すノア
ミケの表情は見えないものの
…そうか
2度目のその言葉は前者よりも少しだけ明るかった