第9章 9
「ノアさんも今日は特別早いですね」
「…ハンジに捕まってた」
ついさっきまでの経緯を簡易的に話したらリアムは苦笑いをしている
無理しないで休んで下さいね
そう言ってくれるリアムは本当に優しい子だと思う
水を浴びた花は水滴がキラキラと光っていて
さわさわと優しい風に吹かれている
「ノアさん、花言葉って知ってますか?」
「………あぁ、少しならな」
近くの壁に背中を預け、腕を組むノア
なにか思うことがあるのか
花壇を見る目には違う景色が映っているように思える
「母が花の世話が好きな人で、よく教え込まれました」
リアムは花壇の側にしゃがむ
今は一緒に住むことはできないけどとても大切な思い出なのだろう
リアムの表情がとても穏やかなものに見える
「春の桜は純潔、秋の秋桜は調和」
花壇の花をジッと見つめポツリポツリと呟く
「冬の雛菊は希望、そして、」
ゆっくりと立ち上がり、ノアに近づくリアム