第9章 9
あれから時計の長針が何度も12を通り過ぎ
気付いた時には外が柔らかな日差しに包まれていて
一日中巨人について語っていたハンジはついさっきやっと眠った
ずっと地下室にいたからか、体や気持ちがどんよりとして
太陽の光を浴びるために外に出ることにした
いつもなら気にしない足音も、この時間になると足音を立てないように細心の注意を払う
そろりそろりと歩き、ひとつも音を出さないまま中庭に出ることが出来た
朝特有の澄んだ空気に体の不純物が取り除かれるような気になる
気持ちの良い中庭を少し奥に進むと、花壇があり、そこにひとつの影が見えた
「あ、ノアさん、おはようございます」
「リアム、おはよう…、早いな」
キラキラと陽の光を反射させ花に水をやるリアム
いつも朝早く起きて花の世話をしているとは聞くが、こんなにも早くから作業をしているとは思わなかった
リアムが毎日世話をしてくれるおかげでここの花壇はいつも色とりどりの花が咲いている