第9章 9
「ノアはなぜリヴァイを避けている?」
ハンジがそれを聞く意図がわからない
「聞き方を変えようか、
ノアはリヴァイのことが好き?」
カップの中の紅茶がゆらゆらと揺れ、波紋を作る
そこに映るノアの顔は歪んでいた
「…なぜそんなことを聞く?」
「それはもちろん気になるからだよ」
いつになく真剣なハンジ
こんな表情を見たのはいつぶりだろうか
「…恋愛は当分いらない」
「そう、……ノアには必要になると思うけどね」
それよりも、なによりの証拠がリヴァイを避けているということだ
それは、意識しているということではないか
ノアはすでに、リヴァイを必要としている
そう言葉にはしないものの心の内で思うハンジ
「…まだ、無理だ」
昔からノアのことを誰よりも心配して大切に思っているハンジ
だからこそ、今立ち止まっているノアの背中を押したいのだろう