第9章 9
ハンジを見るとカップにお湯を注いでいるところで、その手が止まり、ゆっくりこっちに振り返ったかと思うとニヤリと不気味な笑みを浮かべていた
「聞きたい?ノアが興味を持ってくれるなんて嬉しいよ」
ジリジリと近づいてくるハンジ
こうなってしまえば巨人についての長い話から逃れることはできない
これまで何度捕まったことか
最近はこういうことがなかったからすっかり忘れていた
聞きたい?聞きたいよね?
そう繰り返すハンジに首が取れるのではないかというくらい横に振る
「聞きたくないの?まぁ、いいや
今日はノアに聞きたいことがあるから」
意外にもあっさりと諦めたハンジにノアは驚きを隠せない
明日槍が降るんじゃないか
それとも何か変なものでも拾って食べたのか
我ながらハンジに対するイメージがひどいとは思うが、それほど驚愕だった
カップにお湯を注ぎに戻ったハンジは棚からお菓子も出し、話し込む気満々だ
巨人からは逃れられたが、ハンジの長話からは逃れられなかったということか
そう思ったノアはハンジにバレないように深くため息をはいた