第3章 理由はカンタン
そのままリビングに行くと、彼女は凄い勢いで瞬きして、目を泳がせた。
「?」
「…」
あ。
あー…そっか。そりゃそうだ。タオル一丁って。ハダカ同然だもんね。人がいっぱいいる楽屋とかならまだしも、こんなカッコで部屋うろつかれたら。そりゃ落ち着かないわ(笑)。
「ゴメン、やっぱシャツかなんか、貸してもらえる?」
「…ハイ(笑)」
差し出されたパーカー。ユニセックスだし大きめだから着れると思うって。
「あ、りが、と…」
「うん」
「…」
ねえ。
これもう、偶然じゃなくない?
広げたパーカーを見て思った。
グレー地にところどころ模様が入ってるそのパーカーは、つい先日、一緒のロケで翔ちゃんが着てたのとまったく同じもの。俺、似合ってんねって褒めたもん。実際似合ってたし。
『こないだ買ったばっかなの~♪』
って、少し誇らしげだった翔ちゃんの顔が思い浮かぶ。
これは…まさかのペアルック?
って、それを俺に貸すってどうよ!?
あ。もしかしてサイズも同じとか?だから、俺も着れると思って…?
「…」
「あれ?どうかしました?」
「…え?あ、ううんっ、なんでもないっ」
「?」
「お借りしま~す…」
「どうぞ~」
パーカーを羽織る。ちょっと肩がキツめだけど、入らなくもない。そんな俺を見て、彼女はなんだか悔しそうな顔をした。
「私より似合う…」
「え。そう?」
「ていうか、相葉くん細いから!女の子の服でも着こなしそう…」
「あー、前~にマネキンでやったね」
「いいなぁ、何でも似合って…」
「えええ~?」