第1章 ジョーダンに会いに
「にしても…マジですげぇあるねー」
花ちゃん、ヘアメイクの修行で海外に行ってたことがあって。その時のステイ先にジョーダンファンの子がいて、自分もバスケ好きだし、盛り上がって大ハマリしたんだって。だからいろいろレアなものを持ってるらしい。
「今でも時々やりとりはしてて。彼、いま日本のアイドルにハマッてて。今度は私がグッズ送ったりしてるんです(笑)」
「へぇ~」
って。
彼、なんだ。男の子…かな?アイドルにハマッてるくらいの年代なら。
「ん。じゃ、花ちゃんて英語話せるの?」
「まあ…日常会話くらいなら」
「マジ!?すっげぇ!」
「ええ~?相葉くんのがスゴイですよ。日本語でも通じるんでしょ?(笑)」
「勢いだからね?俺のは。何となく~、だし」
「それが一番大事ですよ~」
で
大興奮で十二分にジョーダンワールドを堪能して、お茶しながらまったりバスケトークしてた。スラムダンクも全巻並んでたし(笑)。
「…あれ?これ…」
「どうかしました?」
「ううんっ、何でもない」
「?」
にっこり笑って、彼女はキッチンに戻った。
「…」
じっと見つめること10数秒。やっぱり見覚えがある。このマグカップ。白地に黄緑のラインが入った、結構しっかりめのマグ…俺、結構好きなデザインなんだけど…。
どこで見たんだっけ。つい最近見たような…。や、結構前か?番組とかかなぁ…?
ん~…
なんてボンヤリ考えてたら、そのマグ落っことしちゃった!
「わ―――っ!ごめんっ!!」
下はラグだから割れはしなかったものの…入ってたコーヒー全部撒き散らしちゃったーっ!!
「全然大丈夫!相葉くんこそ、やけどしなかった!?」
「うん、そんな熱くなかったし…」
「よかったぁ~」
ホントにホッとした顔で笑う彼女。ホント、ごめんなさい…。