第5章 取り調べ
「アレいつだっけ~…?けっこ前だな。髪やってもらってる時、パラパラ見てた雑誌に載っててさ。『あ、俺このマグカップ持ってる』って言ったら、『いいなー!』って」
「…」
実は結構有名なブランドのらしくて、ずっと探してるけど見つからないんだとか。
「だいぶ前のデザインらしいんだよね。貰いモンだから俺もよくわかんないんだけど。もう通常ルートじゃ売ってないんだって」
「ふーん…」
「俺は自分の愛用のマグあるし。多分使わないから客用にしようかなーって、一応箱から出して並べてはあったんだけど…。そんなに欲しい人がいるなら、使っていただいたほうがマグも喜ぶかなって」
「それで、あげたの?」
「うん。お礼にって、めっちゃ高級な蕎麦くれた。ほら、ライブの時持ってったじゃん。半生のやつ」
「あ!え、あん時の?」
「そうそう。ひとりで食べるの惜しいって思ってたからさ。けっこーな量あったし。あんま日持ちしなかったし」
「ウマかったね、たしかに。すげーコシがあって…」
「な~?」
コンサートのリハん時、翔ちゃんが差し入れって持ってきて。不器用な翔ちゃん自ら茹でてくれたんだよね。ま、途中から全部マツジュンがやってたけど。
あの時は…どうしたどうした?ってみんなビックリしてたっけ。素人が茹でてもかーなりウマくて、『これお取り寄せできるかな…』とか言ってたっけね、そういや。全員そば好きだから。
「て。俺、花ちゃんから貰ったって話、しなかった?」
「きーてないっ」
「そうだっけ…?あれ、ニノか??」
「…」
ま、マグのことは一応解決ってことでいいよ。一応ね?まだ何もないって証明にはならないからねっ?