第17章 魔王様とドッキリ
【葵】
「おはようございます。小春さん」
「おはよーございます!」
「おはようございます。葵くん、恋くん……っ!か、カメラ!?」
朝の6時過ぎ、プロセラメンバーの部屋が並ぶ廊下で出会った小春さんに声を掛けられたら後ろにカメラマンさんと音声さんが居ることに気付いた。
「実はドッキリなんですよ…グラビとプロセラの」
「ドッキリ?」
小春さんはカメラに移らないように物陰に隠れて俺たちを見る。
「今から隼さんの部屋に行くんですけど…」
「隼くんの?」
すると、うーん…と、考え始めた小春さん。
「本当に行くんですか?」
「勿論です!」
恋が、胸を張りながら答えた。
「どうかしたんですか?」
「いえ…私は付き合いが長いからか、あれが普通だと思っていたんですけど…他の方は何故か驚いている方が多くて…」
あれ?
あれとは一体…
「なんかよく分かんないけど…開けますよ…おはようございます…」
隼さんの部屋の扉を開ける。
すると、見えたのは大自然のジャングル。
バタンと扉を閉め、再び開けると次は夜の外国。
次は男だらけの監獄に最後は異様な雰囲気を漂わせる謎の空間…と…
ここは東京でツキノ寮だったはずなのに…
どうして隼さんの部屋だけおかしいのだろう?
俺たちは小春さんと隼さんの部屋から離れた。
「行っちゃった…」
ふと振り向くと、抵抗もなく普通に隼さんの部屋に入る小春さんの姿があった。
「小春さんって一体何者なんだろう?」