第3章 魔王様と王様と
【始】
とある日の昼下がり。
午前中で仕事を終えた俺は共有ルームに行くとそこは静かな時間が流れていた。
その原因はソファーで眠る彼女のせいだろう。
隣には黒田、膝には白田を乗せ、1人と2匹でお昼寝をしていた。
「隼は仕事か……?」
いつもなら小春の隣に隼が座っているが、今日は仕事で留守にしていた。
寝息をたて気持ちよさそうに眠る彼女。
しかし蓋を開ければ隼…霜月家の使用人。
隼のお世話係。
いやな顔1つせず毎日仕事をこなすのは尊敬出来るほど。
隼だからこそなのかも知れない。
俺が霜月隼と言う人間を知る以前から2人は出会っているのだから当然か…
「ん……」
俺は小春に毛布を掛けると
「隼……くん…」
「隼か…」
出てきた名前が隼だったことに少し残念な気もした。
もう少し……もっと早く出会っていれば
変わっていたのか?
俺に?
いや…
彼女だけは魔王様には適わない。
見えない絆と愛で繋がっている2人には
一生掛かっても適わない。