第11章 魔王様と大学
「隼くん、起きて下さい。朝ですよ~」
「ん~……」
いつもより少し遅めに隼くんを起こす。
今日、仕事はお休み。
だけど、隼くんは行かなければ行けない場所があった。
「隼くん、大学に行く日だよ」
「うん………」
隼くんは大学生。
一応私も…。
最近はアイドルとしての仕事も増え、忙しくしている反面、大学は限られたスケジュールの合間に行っていた。
隼くんの事だからテストとかは大丈夫でも、授業の単位が心配だった。
高校の時のように朝早く起きなくてはいけない日が少ないけれど、出来ることならずっと寝ていたい隼くんにはこういう日こそ寝かせて欲しいと言う。
「今日は私も一緒だから…」
「ずっと?」
「ずっとじゃ……ない…かな?」
「小春は僕を置いていくの?」
「置いてかないよ」
「本当?」
「うん。本当に…だから、起きて?」
何十分もの説得の末ようやく起きた隼くんは着替えをし、共有ルームに優雅に朝食を食べていた。
その間に私は隼くんの今日の授業の準備をする。
とはいえ、記憶力の良い隼くんは授業の内容は全部頭に入っているのであまりノートを取らない。
しかし、レポートなど有るため念のため一冊は入れておく。
私の鞄に比べ量の少ない隼くんの鞄。
「いいな……頭が良くて」