第20章 魔王様とライブ
FullMonthFestival…月フェス。
グラビとプロセラ初の合同ライブ。
この日に向けて皆一生懸命に考え、練習してきた。
朝早くから夜遅くまで…
どうか…成功しますように。
「頑張れ…みんな」
社長さんに渡された一枚のチケットを手に、私は会場に入る。
グラビとプロセラで染まった会場にはたくさんのファンで溢れていた。
寮では見せないかっこいい皆の姿。
アイドルなんだと、実感する。
席に着き、暫く待っていると照明は暗くなり、ファンの皆が照らすサイリウムが色鮮やかに輝いている。
曲が流れ、1人1人のソロ曲からグループ曲まで、皆が皆輝いていた。
隼くんのソロ曲。
私のいる場所の近くまで隼くんは歩いていた。
手を振る隼くん。
私の両サイドの女の子は隼くんに向けて手を振る。
ファンサービスか…
この人混みの中で私を見つけるのは難しいと思う。
社長さんに貰ったチケットは一般の物。
気付かないなら振ってみても良いよね?
私は隼くんに向けて小さく手を振った。
気のせい?
ふと目が合った……そんな気がした。
優しく微笑みながら歌う隼くんはとても眩しかった。