第18章 魔王様と看病
【小春】
1人用の土鍋には卵粥が入っていた。
夜くんと葵くんが作ってくれたらしい。
「はい、小春……あーんして?」
器に移し、レンゲですくうとふう…ふう…と、冷ましレンゲを私に向ける。
「じ、自分で食べられるから…」
「ダーメ…これは僕の仕事だからね。はい、あーん…」
隼くんに食べさせて貰うなんていつ振りだろう?
「あーん…」
思い切ってお粥を口に入れれば、優しい味が広がった。
「美味しい…」
「でしょ?隼様公認の味だからね…」
どうやら味見をしたらしい。
「僕も風邪ひいたら作ってもらおうかな……あ、でも…やっぱり小春がいいな」
「隼くんは風邪ひかなそうだけどね…」
魔力とか何かで吹き飛ばしそう…
「僕だって風邪くらいひくさ……小春の風邪だったら喜んで貰うよ?」
そう言ってコツンと額と額を合わせる。
「まだ熱い……」
隼くんの手が頬に触れる。
「早く良くなるように……」
ちゅっ___
「ん……隼くん……移っちゃう…」
「大丈夫……移していいよ……」
その後、キスは何度も繰り返された。