第18章 魔王様と看病
朝目が覚めると、隣に小春の姿はなかった。
彼女は既に仕事をしているようだ。
「おーい、隼、起きろ~!」
「やあ、海。珍しいね…起こしに来るなんて」
いつもは小春が起こしてくれる。
今日は海だった。
「なあ、今日小春寝坊でもしたのか?」
「え?」
「寮の掃除が終わってないみたいでさ…」
小春が寝坊?
どんなに遅く寝ても、いつも通りに起きていたはず。
共有ルームに向かうと、いつも通り朝食の香り。
「おはようございます。隼さん」
「おはよう。夜…今日は夜の作った朝ご飯かな?」
「はい。時間になっても小春いらっしゃらないので」
「そう…」
椅子に掛け時計を見ると朝の8時。
未だにここには来ていないと言う。
「おはようございます」
ようやく現れた小春だけど、いつもの小春ではなかった。
「遅かったな、もう8時だぞ」
「え!?まだ6時だと思ったんですけど…」
「小春ちゃん、2時間も何してたの?」
「いつも通り、玄関の外と中を…」
海と陽と話す姿は普段と同じに見える。
「でも、考え事してたんですかね?知らない間にぼーっとしてしまって…」
考えるよりも体が自然と動き、額を当てる。
「隼!?」
海が声を上げた。
「やっぱり……小春、熱があるね」
小春の額はとても熱かった。