第2章 パラライザー
『四ノ宮、葵さん…ですね?…公安局です。もう大丈夫ですよ。』
私は女性に話しかける。
「どけ。監視官。」
『え……?』
振り返ると、狡噛さんが女性にドミネーターを向けていた……。
執行モードは、リーサル・エリミネーターになっている…。
「ひぃ……!!」
女性が引き攣った悲鳴を上げる
『やめてくださいっ!!』
怯える女性を庇う。…女性は逃げてしまった……。
「あ、逃げたっ!!」
『縢君、ダメ。追わないで。』
縢君を制止しようとしたが、それを狡噛さんが遮ってしまった。
「監視官、シュビラはあの女を…"四ノ宮葵"を…社会には不必要だと……社会の脅威だと判断したんだ。それでも、そこをどく気はないのか?」
『…彼女は…被害者です。彼女がドミネーターで打たれなけれならない理由が存在しません。』
「……そう言い合ってる間にも、女は逃げてるんだぜ?」
それだけ吐き捨て、縢君が走って行ってしまった……。
『あ……。』
「……そういうことだ。監視官。」
狡噛さんもそれに続いて行ってしまった…。
待って……。彼女は…被害者なんです。彼女は裁かれる理由なんてないんです…!!
私は走る。
2人を…いや、3人を追いかけた…。
私が追いついた時、狡噛さんが女性にドミネーターを向けていた……。
やっぱり、執行モードはリーサル・エリミネーター
「い…や……。いやぁっ!!来ないでぇえええええええええっ!!」
女性は怯えて狡噛さんに叫ぶ。
手には……ナイフを持っていた。
ドミネーターを持っている私達にはナイフなんて、敵いっこないのに……。
気づいた時には、私が狡噛さんにドミネーターを向けていた……。