第2章 パラライザー
『狡噛さん!!彼女は被害者です。…ドミネーターを仕舞わなければ、私は貴方を打ちます…!!』
執行官が"潜在犯"で、ドミネーターで打てることは知っていた。
だから、女性を守りたかった私はそんなことをしたのだろう……。
「…あんた、本気か?」
『本気です。この状況下で、私がそんな笑えない冗談言うと思いますか?』
「……いや。」
狡噛さんが苦笑し、ドミネーターを収めた。
私は、女性に近寄る。
ドミネーターを向けてみる……。
=犯罪係数 オーバー300 執行対象です 執行モード リーサル・エリミネーター 慎重に照準を定め、対象を排除してください。=
『公安局、監視官の如月です。私は、貴女に死んで欲しくない。でも、このままではこの銃が……。ドミネーターが、貴女を殺してしまう…。お願いします。ナイフを…捨ててください……。』
「……。」
=対象の脅威判定が更新されました。 犯罪係数アンダー150 執行モード ノンリーサル・パラライザー =
カラン、と音を立ててナイフが落ちる。
私は、緊張して五月蝿かった心臓を落ち着かせる為に深く息を吐いた。
私は微笑んで彼女に手を指しのべた……。
…ところが……。
「うぐっ!!」
女性がパラライザーで打たれた…。
『っ!?』
私は動揺していた…。
と、そこへ聞き覚えのある声が聞こえた……。