第8章 免罪体質
Side of 狡噛
「以上を踏まえて、槙島聖護は生きた状態での確保が絶対条件だ。
ドミネーターは役には立たない。だが、奴はナイフなどを装備している可能性も否定出来ない。……各自、最低限の武装と細心の注意を払うように。
いいな?」
ギノの声に俺を含めた一同が頷く。
「……ていうかさ、免罪体質って何?
シビュラが裁けない…?……シビュラシステムって、絶対なんじゃねーの?」
縢が声を上げる。
その問いにギノも戸惑い、曖昧な返答を寄越す。
「……とりあえずは、槙島を確保しなければ何とも言えない…。」
「……ったく。シビュラ、本当に気に食わね〜…。
ま、今更何とも思わねぇけど……っ!!」
言い終えると同時に縢がくしゃくしゃに丸めた紙をくずかごの方へ投げ捨てる。
…それは、綺麗に弧を描き、くずかごへ一直線に入っていった。
「っしゃあ〜っ!!やり〜っ!!」
「…縢、仕事中よ。ふざけないで。」
入ったことを喜ぶ縢を六合塚が注意する。
縢が面倒そうに
「へいへい。」
と、返す。
…そこにギノが
「話は以上だ。」
と言い放ち、話はそこで終わった……。