第8章 免罪体質
Side of 槙島
…悠が…。
久しぶりに会えた。
……やっと会うことが出来た。
記憶の中の彼女より…いや、あの時の愛らしさは残したまま大人っぽくなって、美しく成長していた……。
それはさておき、
……彼女が言うように"人を殺すこと"は罪だ。
だが、しかし…。
家畜を殺すことは罪ではないのか…?
……人の為に花を摘むことは罪ではないのだろうか…?
……同じ命だ。
……だが、別の命だ。
罪かどうかを裁くのはシビュラシステムだ。
シビュラシステムが人を裁く。
"シビュラは絶対…。"
いや、あれは完全じゃない。
シビュラシステムは…僕を裁けない……。
気づいたのは、まだ幼い頃だ。
……詳しいことはもう既に記憶から綺麗さっぱり忘れ去られているが、"人に怪我をさせてしまった。"…親に叱責を受け、とても不愉快な思いをした事は、今でも鮮明に覚えている……。
……だが、色相はクリアだった。
…嫌な思いをした割には、クリア過ぎた……。
……それで、親に褒められることもあった。
最初は純粋に嬉しかった…。
しかし、ある瞬間。
褒められることの喜びより、好奇心が勝った瞬間があった……。
"どうやったら、僕の色相は濁るのだろう…?"
その瞬間からだろうか……。
僕の運命の歯車が、悪戯に狂い出したのは……。