第8章 免罪体質
「…ああ、すまない。
免罪体質とは、シビュラシステムやドミネーターで裁く事の出来ない体質のことだ。…その体質を持ったものをそのまま"免罪体質者"と呼んでいる。
……その人数は限りなく少ない。その上シビュラシステムで裁けないと解れば社会の混乱を招く。
よって、その存在は一般的に非公開にされている為知らないのも無理はない。」
『…免罪…体質……?彼が…ですか?』
「ああ、そうだ。」
「……しかし局長。
何故そのような事を我々に教えるのですか?」
「……今回の事件の担当は1係の君たちだ。
私は君たちを結構気に入っていてね。
それに、この情報を伏せたままでは難しいものがあったので公開させてもらったよ。今の所、この情報を知っているのは私と1係の君たちだけだ。まぁ、そこで、なんだが。君たち1係に槙島聖護の確保を頼みたい。
……だが、くれぐれも口外はしないように。……出来るね?」
綺麗な姿勢で私達を見つめていた局長は机に肘をつき、顎に手を当てる。
「……出来ます。」
『必ずやってみせます。』
私と宜野座さんの声が重なり、局長が納得したように深く、そしてゆっくりと頷いた。
「……よろしい。
では、頼んだよ。最後にもう1度言うが…くれぐれも、この事は外部の人間に漏らさないように。そして、槙島聖護の生きたままの確保は絶対条件だ。
……頼りにしているよ。」
……最後に添えられた局長の笑みが冷たくて、背筋がぞくり……と震えた……。
ちらりと宜野座さんを横目で見ると彼は真っ直ぐに局長を見据えていた。
……真剣な表情で…。
……局長もこちらを見つめ返しており、私は…なんだか……2人が睨み合っているような気がしてならなかった……。