第8章 免罪体質
「如月監視官…。」
狡噛さんが私を呼び止めた。
私は一瞬その声に驚いた。
いつも、周りに宜野座さんが居ない時は"監視官"だったのだが、今回は"如月"がついた。
ちゃんと名字を呼んでもらえるのは、少しでも成長していると認められたような気がして、少し嬉しくなった。
『は、はい。何でしょうか?』
「…槙島聖護という男、あんたは何処で知り合ったんだ?」
…私を射貫くような鋭く、真っ直ぐな眼差しに見つめられ、私は一瞬硬直した。
『…"何処で"…ですか?』
「ああ、一応、知っておきたいと思ってな…。言いたくないのなら、無理に、とは言わないが……。」
『あ、いえ。構いませんよ。
……当時、私はまだ中学生でした…。…その時に大学からの教育自習生として来ていた内の1名が…彼、槙島聖護でした。』
「…奴は、どのような人間なんだ?」
『一言で言うと……不思議な人でした…。笑ってはいるけれど、笑みを浮かべてはいるけれど…それは心からの笑みではない。貼り付けられたような笑顔のような気がして、初めて彼を見た時は少し恐怖を感じました……。
そして、彼は読書が好きなようでした。それも、紙の本……。』
「ほう。それは何故だ……?」
『私は、1度だけ彼にそれを訊ねた事がありました。"何故、紙の本でなければならないのか…"を。……そしたら彼は…