第7章 過去
私は緋色のお酒の注がれたグラスに口をつける
ほわん…とほのかに香る柔らかい香りはとても優しい。
私は少し飲んだだけで酔いが回ったらしく、頭がぼーっとする。
なのでそれ以上はお酒を飲むことはやめておいた。
「んだってさぁ〜。俺が来た時にはもうコウちゃん執行官に降格されてたしさぁ〜。…なんか?…コウちゃんがまだ監視官だったころ、どうやら部下だった執行官の……佐々山?…だったかな。……その男と一緒に犯人を追ってた筈が何故か殺されちゃったらしいんだ。んで、コウちゃんがその人の死体見ちゃって犯罪係数ぶっちぎっちゃった…………とか何とか……。」
『……そ、そうなんだ……。』
お酒に酔った彼はかなり饒舌で聞きたいことをすんなり教えてくれた…。
……彼の言ったことが事実であるなら…狡噛さんは監視官…だったの…?
そんな事を考えていると縢くんが再び口を開く。
彼のカラカラとした笑い声が響いた。
「あはは。悠ちゃんてば、ちょーっと飲んだだけなのに顔真っ赤だよ〜?」
からかうようにケラケラと笑われ、私は少しムッとする……。
『そ、そういう縢くんだって……!!』
「俺は結構飲んだも〜ん。」
私はグラス3杯目でやめたが、ボトルは2本程空になっている。
それを考えると縢くんは結構飲んだのだろう……。