第5章 気づいた気持ち
『ふぇ!?』
あまりにも唐突なその問いに、油断していた私は奇妙な声をあげてしまった。
「「わっかりやす。」」
『もう。良いから前ちゃんと見て!!』
「オートでーす。」
凜は振り返ってニヤリと不敵な笑みを浮かべピースサイン。
…ま、負けました。
ケラケラと楽しそうに笑う2人は更に続けた。
「槙島先輩も満更でもないみたいな感じだったしねぇ……。」
「2人は付き合ってる、みたいな噂まであったし。」
「あの時の秀ってば、すんごい荒れてたよねぇ……。」
しみじみと言う凜。
そこで、私はふと疑問に思い、私抜きで進んでいった会話に割り込む。
『ちょ、ちょっと待って。もし仮に私達が付き合ってたとして……。何故秀が荒れるの?』
2人は呆れたような口調で綺麗にハモった。
「「……本っ当、鈍感。」」
『え?えっ?』
焦る私に構わず澪が続ける。
「まぁ、本人ここに居ないし、勝手に言ったら怒るだろうから言わないけどね。」
「そうそう。あと澪、秀くんの事、好きだったよねぇ……。」
「なっ!?凜だって!!零の事好きだったでしょ!!」
「や、やめてよ〜。」
2人は顔を真っ赤に染めて言い合いをする。
一気に女子の会話になってしまった…。
だが、唐突に静かになった2人は揃って私を見つめ言う。
「でもさ……」 「2人は……ね。」
やっぱり似てるなぁ、なんて事を考えていると
「やっぱりわかってないよ。この子は。もー。」
呆れたように澪が言って盛大な溜息を吐いた所で目的地に着いた。