第5章 気づいた気持ち
「悠…!!」
「悠〜♪」
幼馴染みの、凜と澪だ。
2人は双子で行動までとてもよく似ているが、性格は真逆と言っても良いと私は思っている。
『澪、凜。ごめんね、待たせちゃった…?』
私が訊ねると、2人は揃って
「「大丈夫だよ〜。」」
と言う。
私はそれにすこし笑ってこう言った。
『それじゃ、行こうか。』
「「はーい。」」
2人は私の車に乗り込もうとする。
すると、凜が運転席に乗り込んでいる。
『え…凜、どうしたの?』
「疲れてるんでしょ?運転くらい代わるよ。」
優しく微笑む凜。
……その心遣い、恐れ入ります…。
苦笑する私に、
「そーそー。こういう時にしか凜はパシれないよ〜?」
と悪戯っぽい笑みを浮かべた澪が続けた。
「ちょっとお姉ちゃん。ふざけてないでちゃんとしてよね。悠は疲れてるんだから……。」
澪に少し叱るような口調で言う凜。
本当、仲が良いんだよなぁ…としみじみ思う。
「はいはい。」
と苦笑して言う澪。
"これじゃ、どちらがお姉さんなのかわからないね。"
という言葉は言わないでおいた。
楽しいからそれで良いだろうと思った。
……先ほどあれほど悩んでいたのが、今は嘘みたいに晴れやかだった。