第5章 気づいた気持ち
Side of 如月
久しぶりに再会できた大切な人が……目の前で殺人を……。
その瞬間、私の視界は真っ暗になった……。
『何故……こんな事を……。……先輩……。』
視界が涙の所為で歪む……。
生温いそれは、私の頬を濡らしていく……。
胸が軋む…。…苦しい…。
一体、彼に何があったのだろう。
……そして、作動しなかったドミネーター。
私は、彼を止められなかった……後悔しても、しきれない。
とにかく、私には泣くことしか出来なかった……。
私は毛布に包まって泣きながら、いつの間にか泣き疲れて眠ってしまったらしい。
早朝に目が覚めたのがせめてもの救いだ。
『……サファイア。』
私は、そっと呟くように名前を呼ぶ。
すると瞬時にふわふわと浮かぶものが出てくる。
立体ホログラム表示サポート人工知能 ホームセレクタリー・アバターユニットシステム
私はそれを使っている。
"サファイア"と名付け、家ではそう呼んでいる。