第5章 気づいた気持ち
それから数日後……。
話す為にコウちゃんは俺の部屋に来ていた。
俺は料理を振る舞っていた。
コウちゃんとそれをつつきながら話す。
「…それで、あの時何を考えていたんだ?」
「あー。えっと…説明しづらいんだけど……。」
言葉を模索しながら説明する。
もちろん、最初の方は省いて……。
話し終えると、コウちゃんが口を開いた。
「監視官は、面白いくらい真っ直ぐな人間だからな……。」
そう言って笑うコウちゃんは、今まで見た事がないくらい穏やかで、優しげだった。
……猟犬とは思えないくらい……。
それで、俺は悟った。
……そっか…。俺、悠ちゃんが好きなんだ……。
そして、たぶんコウちゃんも……。
それほど、俺達にとって……いや、どんな人にとってでも、
悠ちゃんは魅力的な女の子だと言うことだ。
……だったら尚更、この気持ちには蓋をしてしまっておかなければならない。
あくまで、俺は猟犬。悠ちゃんは飼い主。
どうしても超えられないものがある。
俺は、そんな事を考えていた……。